ふるさとの名産品づくりにチャレンジ。地域の人と作る「橘香酢」~子どもを育む場所(5)
「移住定住コンシェルジュ(柳井市)」サポーターの垂井です。
柳井市大畠(おおばたけ)地区の特産品である橘香酢(きっかす)。
大畠中学校の子どもたちが、柳井市生活改善実行グループ連絡協議会 大畠グループの皆さんと一緒に橘香酢づくりを行いました。
今回はその様子をレポートします。
「もったいない」から生まれた橘香酢
橘香酢とは、成長過程で間引きのため摘み取られた青みかん(摘果みかん)を一つ一つ手絞りして作る果実酢です。1本に約25~30個の青みかんが使われています。小さいとはいえ、せっかく実をつけたみかん。食べずに捨ててしまうのはもったいない、何か活用できないかという地域の人の思いから生まれた特産品です。
完熟みかんよりもクエン酸やビタミン類が多く含まれていて、焼肉や寿司、酢の物などの料理に使ったり、ソーダで割って飲んだりと、いろいろな楽しみ方があります。
そんな橘香酢は、毎年夏に生産作業が行われます。
中学生の参加は新型コロナウイルスの影響などによる中止を経て、今回4年ぶりに開催されたとのこと。地元の特産品加工を地域の人と関わりながら体験できる、貴重な活動です!
さっそく作業スタート!まずはみかんを半分に切るところから。
次に、半分に切ったみかんを絞っていきます。
中学生に聞いてみると、「力が結構いるので大変です」とのこと。黙々と進めていきます。
そして、しぼった汁を3回に分けてこします。
その後、熱湯消毒したびんに熱した橘香酢を入れ、冷蔵庫で冷やします。
最後に包装をして完成です。
中学生は主に、青みかんをカットする工程、絞る工程、できあがった橘香酢を包装する工程を担当。
周りの友達や大人と楽しそうに会話しながら進める子もいれば、集中して黙々と作業を進める子もいて、思い思いに橘香酢づくりに取り組んでいました。「地域の人と協力して作るのが楽しい」と話す中学生も。地域の人も、子どもたちと一緒に作業をすることがとても楽しそうでした。
子どもたちへの温かなまなざし
橘香酢を生産するグループの国広さんにお話をうかがいました。
「橘香酢づくりの作業には人手が必要で、中には力仕事もある。メンバーも歳をとっていく中で、中学生に来てもらって助かるし、ありがたいです」と国広さん。
少子化により地域で子どもと出会う機会が減っている中、中学生は「自分の孫を見るような気持ち」だそう。「これからぜひ、大畠という地域を伝承していってもらえたら」と温かなまなざしで話してくれました。
地域の人にとって子どもたちは未来の宝。進学や就職で地元を離れる子どもも多い中、橘香酢づくりというふるさとの思い出は、いつの日か地元に帰ってくる一つのきっかけになるかもしれません。
学校では見られない子どもの一面も
今回の作業には、大畠中学校の先生も参加されていました。
中学生の中には橘香酢を初めて見るという子どももいるそうで、地域のことを知る良いきっかけになったのでは、とのこと。
先生は作業に取り組む子どもたちを見渡しながら、「一つの商品を作るまでにこれだけの工程があり、これだけの人が関わっているのだと実感できるいい機会。学校では勉強できないことで、子どもたちはとてもいい体験をさせてもらっていると思います」と感慨深げでした。
中学校では以前、橘香酢を使った料理を自分たちで考えて、地域の人に協力してもらいながら実際に作ってみるという授業を行ったそうです。
「地域の人と関わる中でつながりができ、普段の生活で出会ったときに『あ、橘香酢の人だ』『こんにちは』『この前学校で会ったね』と話ができたりする。地域の皆さんに成長を見守ってもらえるのがありがたいです」と先生。
また、思いがけないこともあったそうです。
「学校では勉強が苦手な子どもでも、この場では『次はこれをしたらいい』とすぐ判断し、てきぱき動いていたりする。この子にはこんな面もあるんだ、という新しい発見がありました。学校では見られない、子どもたちの違った姿も見ることができて、教員としてすごくありがたいです」。
橘香酢づくりを通して、地域の人も先生も、子どもたちが体験する姿からいろいろなことを受け取っているようでした。
自分で包装しラベルを貼った橘香酢は、店頭に並んでいる商品と同じ立派な姿に。橘香酢を手に、とてもうれしそうな子どもたちの姿が印象的でした。
穏やかな気候と豊かな自然の恵み、そして地域の人の思いから生まれた橘香酢。貴重な特産品を未来に残していくため、伝統や思いを次の世代につなげていくため、毎年地域の人と子どもたちが一緒に楽しく作業に取り組んでいます。
人とのつながりを感じながら心豊かな暮らしを送ってみたい。
子どもという未来の宝を地域ぐるみで育む、そんな地域で子育てをしたい。
そんな方に、柳井市はぴったりの場所かもしれません。
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