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50代でぶどう農家に転身。試行錯誤のぶどう栽培を知る~お試し農業体験記(3)

「移住定住コンシェルジュ(柳井市)」サポーターの垂井です。
この記事では、山口県柳井市日積(ひづみ)地区でぶどう農業をされている田中さんをご紹介します。
今回はぶどうの巻きつる切りも体験したので、その様子もレポートします。
農業に興味のある人は、実際にお試し移住で柳井に来た際に体験できるかもしれません!

はじめてのぶどう栽培で試行錯誤の日々

柳井の日積地区は、特産としてぶどう栽培に取り組んでいる地域です。
昔、さまざまな作物を育ててみた結果、ぶどうが一番日積の気候に合っていて、生産に至ったのだそう。
そんな日積でぶどう農家をされているのが、田中さんです。

田中さんは、山口県阿武(あぶ)町出身。
結婚を機に、奥さんの実家である柳井市に引っ越しました。
長年郵便局に勤め、定年も間近に迫ったあるとき。
義理のお父さんがぶどう農家を引退するという話を耳にしました。
この農地が使われなくなってしまうのはもったいないと感じた田中さんは一念発起。
農地を継いでぶどう農家に転身することを決めたのでした。

田中さんのぶどう畑

しかし、これまでぶどう栽培の経験がなかった田中さん。
何もわからない中で、最初の1年目は周りに聞いたり自分で調べたりして、試行錯誤を繰り返す日々。
キャンベルを主にした5種のみの栽培からスタートして、今では15品種ものぶどうを育てているそうです。
今後はさらに、長期間売れる品種を増やしていきたいとの思いも語ってくださいました。

現在は、8月からはじまる収穫に向けて忙しい日々を過ごしている田中さん。
収穫したぶどうはふれあいどころ437の直売所で販売しているそうです。
それぞれの農家が出荷したぶどうが並ぶ夏の直売所は、ぶどうの香りで包まれるのだとか。
ぶどう栽培が盛んな地域だからこその醍醐味、いろいろな農家さんのぶどうの食べ比べもしてみたいですね。

田中さんが栽培した3品種のぶどうの写真。収穫時期にはふれあいどころ437で購入できます。

日々の手入れが大切

5品種から15品種にまで栽培品種を増やしてこられたのは、田中さんの日々の手入れの賜物です。
「成長してほしい品種の木の枝がうまく伸びてくれるように、木の入れ替えをしたり、剪定をしたり、枝が伸びる道筋をつくってあげたり。とにかく手入れを繰り返すことが大事なんです」と語る田中さん。
不要な枝を取り除き、全体に日が当たるように調整したり、育てたい枝に集中して栄養を届けたりすることで、美味しい実がなるよう成長を促すとのこと。
また、定期的な草刈りも、大変だけれども大事な仕事だそう。
毎日よく観察し、手入れを繰り返すことが、おいしいぶどう作りの極意なのですね。

農地をデザインする

「いい苗木かどうかは、実際に4~5年育ててみないと分からないんです」と田中さん。
丁寧に育ててきても、植えてから数年後に木を入れ替えることもあるそうです。
計画をたててから結果が出るまで数年かかるというぶどう栽培。
長い期間成長を見守り続ける忍耐力が必要な世界です。

数年先にどんな品種が育っていてほしいかを想像して苗木を植え、日々手入れを繰り返しながら見守り続ける。
それはまるで、大人になる姿を想像して我が子を育てる「子育て」のよう。
田中さんに最近植えたという2本の苗木を見せてもらいましたが、まだ小さくて健気に感じました。

決められた区画の農地の中で、どんな品種を増やしていきたいかを考えて、それに向けてどこに何を植えるかをデザインする。
そして、それぞれの木の成長に合わせ、枝を剪定したりちょうどいいタイミングで肥料をあげて手入れをしていく。
一見地道ではあるけれど、想像力や観察力、忍耐力などさまざまな力が試される、とてもクリエイティブで面白い仕事だと感じました。
一口にぶどうといっても、育てる人や環境によって、絶対に同じ形になることはない。
田中さんの畑でお話を伺いながら、そのことを強く感じました。
手間暇をかけた田中さんのぶどうを、ぜひ食べてみたいと思いました。

田中さんが栽培した収穫前のぶどうの写真。実が大きくてとてもおいしそう!

また、農家同士のつながりや支援体制もしっかりもあるとのことでした。
日積のぶどう農家さんで作るぶどう組合の会合が毎月開催されたり、県農林水産課の職員さんが来て勉強会が開かれたりするそうです。

ぶどうの巻きつる切り体験

そんな田中さんのぶどう畑で、今回は、ぶどうの巻きつる切り体験をさせていただきました。
初夏の時期、新梢や実に行って欲しい養分を確保するために行います。


ほかにも、ぶどう栽培に興味のある人は、袋かけ、木の皮むき、ビニール張りなどの体験をできるかもとのこと。
少しでも興味がある方は、ぜひお試し移住でぶどう栽培の面白さに触れてみませんか?


本記事は、2024年6月時点の情報になります。
柳井市への移住定住に興味のある方は、下記のお試し移住相談窓口までお気軽にご連絡ください。