「自然の中で子どもたちと楽しく遊びたい」という気持ちが里山保全につながる ~地域の元気人(3)
「移住定住コンシェルジュ(柳井市)」サポーターの垂井です。
シリーズ「地域の元気人(げんきびと)」では、「自分たちの手でふるさとをもりあげよう!」と活動する地域の方を紹介していきます。
今回は、以前こちらの記事で紹介した、会長・西本さんとともにSeeds設立にかかわられた宮本さん、そしてお2人の思いを引継ぎ、Seedsの一員として活動されている船戸さん、関さんにお話を伺いました。
森を整備し、子どもたちがのびのび遊べる場所にする
山口県柳井市日積(ひづみ)地区を拠点に活動する、市民活動団体Seeds(シーズ)。
2002年の発足以降、子どもたちが自然にふれあいながら学習できる場作りに力を入れてきました。
その一員として、宮本さん(現Seeds事務局長)はさまざまな活動を行ってきました。
その1つが、「お山の学校」での里山再生事業です。
活動拠点であった旧小学校の木造校舎はいつかは取り壊されるため、「拠点をさらにフィールド寄りにして、子どもたちをよんで楽しく活動できれば」と、新しい取り組みとして里山での活動を活発化させていきました。
その里山での活動拠点が、「お山の学校」です。
当時、「お山の学校」の裏には竹藪が広がっていました。
そんな中、宮本さんたちは自ら県主催の林業講座に参加してチェンソーや林産物の作り方を学び、自分たちの手で竹林を伐採しナラの木を植樹してきました。
竹が増えると生い茂った葉で日光が遮られ、他の木々の成長を妨げてしまい、やがては竹ばかりになってしまいます。
竹によって浸食される雑木を守り、災害に強い健全な山づくりをするためにも、竹林整備はとても重要だそうです。
手入れ後の森を見せてもらうと、木漏れ日がとても綺麗で、風通しのいい場所になっていました。
人の手を加えると、森はこんなに心地いい空間に生まれ変わる可能性があるのだなとぐっときました。
現在は、「お山の学校」にツリーハウスを作る計画が進行中とのこと。
「子どもたちが飛び回って遊べる空間になれば」と、構想を語ってくださいました。
毎年開催している小学生向けの宿泊体験学習「里山探検隊」のプログラムに入れ込むことも計画しているそうです。
外で思い切り遊ぶことができる場所が減っている中で、とても貴重な取り組みだと感じました。
次世代に引き継がれる思い
Seedsのメンバーである、船戸さん、関さん。
ともに日積に縁あって移住してきたときに宮本さんに出会い、Seedsへの加入を決めたといいます。
「参加できるときに参加すればいいというのがSeedsのスタンス。関わりやすい距離感に惹かれました」と船戸さん。
このように、移住者を巻き込んで、次世代のための地域活性化に取り組んできたSeedsの輪はどんどん広がっています。
宮本さんに今後の展望は?と伺うと、意外な答えが返ってきました。
「今まで子どものために活動してきたけれど、少子化が進み、さらには山や海に出て外遊びをしたがる子どもが減ってきている。そういう時代の中で、団体として活動を模索していかなければと思っています」と宮本さん。
今後はどうすればいいのだろうか、という正直な胸の内を明かしてくれました。
Seeds発足者の一人・西本さんも、以前のインタビューで「自分が子どものときにやっていたことを、今の子どもたちにもやらせたい」と活動への思いを語っておられました。
社会をとりまく状況が変化し、以前のようにのびのび自然で遊ぶことから遠ざかりつつある昨今。
Seedsの皆さんのお話を聞いていて、そんな時代だからこそ、Seedsのような活動はこれからますます重要になると思いました。
ものに溢れた生活に疑問を持った人へ
自分たちの手で、自然のものを使って、自分たちの遊び道具をつくる。遊べる場所を作る。それが結果的に里山保全につながる。といった循環はなかなか都会では経験しにくいと思います。
ものに溢れていて、消費の渦に巻き込まれてしまうことに疑問をもった都会の人々にこそ、このような活動は魅力的に映るのではないでしょうか。
印象的なのは、活動を紹介してくださった宮本さん、船戸さん、関さんがとても楽しそうだったことです。
自分たちが楽しいと思うことを、子どもたちにも体験してほしい。その純粋に楽しむ気持ちが下の世代につながって、それが種となり未来にどんどんつながっていくのだと思います。
Seedsという活動のこれからの道筋を、今後も追っていきたいです。
都会の暮らしに疑問をもっている方、身の回りの自然を活用して生活をつくり、楽しむことに興味がある方。
ぜひ一度柳井市に来て、自然の中で暮らす豊かさを実感してみませんか?
本記事は、2024年6月時点の情報になります。
柳井市への移住定住に興味のある方は、下記のお試し移住相談窓口までお気軽にご連絡ください。